水をたくさん飲む病気?

 皆さんの家のワンちゃんや猫ちゃんは、一日でどのくらいの量の水を飲みますか?最近やたら水をたくさん飲むことが多いような・・・と気になる事はありませんか?

今回は水を飲む量が増える病気についてお話ししたいと思います。

 

 

<多飲多尿とは>

 多飲多尿とは、読んで字のごとく多くの水を飲んで多くのオシッコを出す事です。

一般的には1日に体重1kgあたり100ml以上の水を飲んでいれば多飲と判断されます。

つまり5kgのワンちゃんなら500mlのペットボトル1本分以上飲んでいれば多飲と言えますね。

 ただ、これ以下の数値であれば絶対安心というわけではなく、以前よりも明らかに飲水量が増えている場合は、病気が潜んでいる場合があるので注意が必要です。

 

<多飲多尿になる病気>

多飲多尿になる病気は様々ですが、代表的なものは以下の3つです。

 

  • 糖尿病
  • 腎臓病
  • 副腎皮質機能亢進症

 

・糖尿病

        

 インスリンという血糖値を下げるホルモンが少ない、あるいは効きにくくなることにより血糖値が上がる病気です。糖尿病が進んで尿にブドウ糖が出るようになると、オシッコがたくさん出るようになり、その結果飲水量も増えます。急に多飲多尿になることが多いです。

 高血糖状態が持続することにより様々な合併症が引き起こされ、命に関わる場合もあるため、早い段階で治療を開始することが推奨されます。

 犬や猫の糖尿病は治療は自宅でのインスリン療法(注射)です。糖尿病はかなり進行した状態で発見されることがほとんどなので、基本的には食事療法や内服薬のみでコントロールすることはできません。飼い主様が自宅で注射が打てるようになるまでは、病院で一緒に注射の練習をすることになります。

 猫はインスリン療法によって糖尿病が寛解する事が稀に(20%程度)あり、その場合はインスリン治療を中断あるいは終了することが出来ます。※再発の可能性はあります

 

・腎臓病     

 腎機能が低下する病気です。高齢の猫ちゃんに非常に多い病気です。腎臓をオシッコを作る臓器です。身体に貯まった老廃物を排泄したり、ミネラルや水分のバランスを調節したりしています。腎臓で一度作られた尿は、体外に排出されるまでにその水分の多くが身体に戻っていきます。これを再吸収と呼んでいますが、腎臓病ではこの再吸収が上手くいかないことにより、水分の多くが体外に流出してしまいます。

結果、喉が渇いて水を多く飲むようになります。

 ただし、多飲多尿は腎臓病で必ず起こる症状ではありません。初期には症状が全くないので、早期発見するには定期的な健康診断が重要な病気です。

 治療法は初期は食餌療法やサプリメントから、進行している場合は内服薬や点滴療法が必要になる事があります。

 

  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

 

 副腎という臓器で作られているステロイドホルモンが過剰に分泌される病気です。

このホルモンの作用によって尿が多く排出されてしまい、結果飲水量が増えます。

多飲多尿の他に、お腹が張ったり、脱毛が見られることも多いです。

 クッシング症候群は肝臓、腎臓、心臓などに様々な合併症を引き起こします。糖尿病や甲状腺機能低下症を併発している場合もあります。

 治療は主に自宅での内服薬の投与ですが、薬が効きすぎてしまうと危険な場合があるため、かなり慎重に投与します。

 

  • その他

 その他にも多飲多尿を引き起こす病気はあります。中高齢猫の甲状腺機能亢進症や未避妊の女の子の子宮蓄膿症、脳の病気など様々です。

 

 もちろん飲水量が多いからと言って必ずしも病気だとは限りません。

気温や運動量によっても飲水量は変化します。

 

<多飲多尿だと思ったら>

まずはご相談下さい。

飼い主様のお話をよく伺って、状況を把握させて頂きます。

そして動物の状態を確認し、その後必要な検査を相談致します。

 

いきなり来院はハードルが高い!という方はお電話でもご相談できますので、お気軽にご連絡下さい✨