まだ動物病院では珍しい歯科専用のレントゲンですが、歯周病の診断・治療を行う上で非常に有用です。通常のレントゲンでは写らないような細部の状態を確認することが可能です。当院ではこの歯科専用レントゲンを用いて診断・治療を行っています。
←X線装置 ←デジタルセンサー
歯周病とは口の中の細菌感染によって歯肉や歯の周囲の骨に炎症を起こしている状態です。病態が進行すると歯の周囲の骨が融けたり、そこに膿が貯まったりします。もちろん本人は痛みや不快感を常に感じながら生活することになります。
歯科レントゲンの目的は口の中の病態を正しく把握し、それに応じた適切な処置を行うことです。
黄色の矢印の歯を見て下さい。歯石が少し付着しているのは見てわかりますが、歯肉に覆われている歯根部分は肉眼で確認することができないので、一見大きな問題は無さそうに見えます。ところがレントゲンを撮影してみると・・・
矢印の場所にあるはずの骨が融けてしまっていることが分かります。
これはかなり進行した歯周炎で、歯石を取ってハイ治療終了!とはならない状態です。
飼い主様と相談の上、抜歯を選択しました。
このように歯科レントゲンを撮影する事で、肉眼や通常のレントゲンでは分からない歯の状態をより正確に知ることができますし、適切な治療を選択することが可能になります。肉眼ではそれほど悪くないように見えるけど、実は重度の歯周炎だったという事はよくあります。
ただ歯科レントゲンはデメリットもあります。全身麻酔が必要な事です。
起きている動物は押さえつけると抵抗しますし、簡単に口を開けてくれません。歯科レントゲンはセンサーを口の中に入れて撮影するので、どうしても全身麻酔が必要になります。今日診察の予約をして、その日の内に歯科レントゲン撮影・・・とはなりません。
できれば全身麻酔をかける回数は少ない事が好ましいので、基本的に検査・診断・治療は全て同じ日に行います。麻酔中に治療方針を飼い主様と相談することは難しいことが多いため、事前診察の段階で、想定される病態・治療方針を十分に相談しておく必要があります。
いきなり全身麻酔を!というのは抵抗がある人がほとんどだと思いますので、まずは一度来院して口の中を確認させて頂ければと思います。今後のご相談をさせて頂きます。